浦戸諸島での研修

私たちは地域創生の研修として、宮城県塩竈市にある浦戸諸島に行ってきました。

浦戸諸島は主に桂島、野々島、寒風沢島、朴島という4つの有人島で形成されています。

産業としては海苔や牡蠣の養殖、シラウオ漁、農業などがあります。


観光業や、地域の物産品を伸ばすというのも肝心ですが、

私たちの関心の一つとして、「いかにコミュニティを形成するか」というものがあります。

しかし、浦戸諸島は地形の特性上、どうしても交流が難しいのです。


コミュニティを形成する必要性として、次の二点があげられます。

第一に、島同士の交流を促進し、産業を発展させる

第二に、島外の人たちとの交流を増やし、島を知ってもらう

これらによって、よりよい地域の形成をしようという取り組みです。

なかなか容易ではありませんが、私たちにとって良い学習機会となりました。



せっかくなので、仏教学のアカデミックな視点を交えて感想を述べたいと思います。

浦戸諸島では、「地蔵信仰」を中心とした宗教文化が形成されています。

そして、自身のお墓の中に、「無縁供養」の地蔵も建てるという風習があります。

また、後世になり、浄土信仰や密教文化、庚申信仰が入ってきたためか、

大日如来石碑や曼陀羅石碑、阿弥陀像、徳本名号碑、庚申塔といったものがあり、

住民を中心とした講の文化なども残されています。

おそらく、昔の有力者が「信仰」をきっかけとして、島の人々を一つにまとめあげようと試みたのでしょう。


なかには「埋封大乗妙典墓誌」と刻まれた石碑もありました。

仏塔の中か、地面か、どこに埋封されたかはわかりませんが、

仏典はとても大切に扱われていたのでしょう。


また、神社の中に仏像が配置されていたり、寺院施設の前に鳥居があるなど、

神仏習合の色彩が非常に強く残されています。


島の人々ははるか昔から、神仏に対して「自然のありがたさ」を感じ、

そして、共生している社会の中で、隣人を大切にしてきたのでしょうね。



私たちが島にいて心に残った景色もあります。それは夜の寒風沢です。

灯りが非常に少ないなかで、星空が非常に鮮明に見えるのです。

田舎にいって、ただただ「都会よりも星が見える」というのではなく、

粒子のような細かい星までもが、びっしり夜空を埋め尽くしているのです。

静けさの中、非常にロマンティックなムードを演出してくれます。

そのような自然の演出を、もっと多くの人々に提供するためにも、島づくりが必要なのだと思いました。


文責:濱田